物語の魔力 — 桃太郎だけはなぜか覚えている
幼稚園で習ったことはほとんど忘れているのに、桃太郎のあらすじだけは今でも言えます。物語というフォーマットには、感動したかどうかとは関係なく人の記憶に残る力がある。その力に引き込まれる側から、使える側に回れたらと考えた朝の話です。
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物語があふれる時代に生きている
本、漫画、小説、ドラマ。
世の中にはたくさんの物語があふれています。
最近はTikTokの縦型ショートドラマのように、これまでよりずっとコンパクトなかたちの物語も増えました。
Xのように文字数が限られた場所でも、短編小説をさらに短くしたようなものが投稿されています。
これほど物語に囲まれた時代は、なかなかなかったのではないでしょうか。
そんなことを考えていたら、物語そのものが持つ力について話したくなりました。
今日のテーマは、物語の魔力です。
桃太郎だけはなぜか覚えている
冒頭にも話した桃太郎の話です。
小学校や幼稚園の頃の記憶は、ほとんど残っていません。
何を勉強したのか、完璧に覚えている人はそういないと思います。
それなのに、桃太郎やおむすびころりんのような、小さい頃に聞いた物語だけは不思議と覚えている。
しかもストーリーの流れまで、かなり鮮明に残っています。
これはおそらく、単語ではなく物語として記憶しているからです。
「桃太郎」という言葉だけを切り離して渡されていたら、きっと覚えていなかった。
主人公がいて、筋があって、結末がある。
その形になっていたからこそ、今も心に残っているのだと思います。
面白いのは、感動したかどうかが条件ではないところです。
桃太郎を読んで大号泣した記憶がある人は、そう多くないはずです。
つまり、物語というフォーマット自体にパワーがあるということになります。
文脈が分からなくても目が離せない
その力を最近も実感しました。
私自身はドラマを見ないのですが、家族がよく見るのです。
ダイニングで食事をしたり作業をしたりしていると、視界の端にドラマの流れているテレビがあります。
頭に入れないようにして手元に集中したいのに、ついつい視線が向かってしまう。
気づけば30分、1時間経っていることもあります。
「また見入ってしまった」と思うことが何度もありました。
第何話なのかも、どういう文脈なのかも、誰が誰なのかも分かりません。
それでも引き込まれて、目が離せなくなってしまう。
縦型のショートドラマも同じです。
展開が読めてしまうことも多いはずなのに、スクロールできない、途中で離れられない。
物語の持つ魔力は、やはり相当に強いのだと感じています。
向けられる側から、使う側へ
ここで考えたのは、いつもその力を向けられる側でいるのではなく、うまく活用できる側に回れたらということです。
日常の会話でも構いません。
何かをうまく説明するときに、ストーリーに落とし込んであげる。
商品ならプロダクトストーリーという言い方もあります。
物語というかたちに乗せることで、同じ中身に別の価値が乗る。その使い方ができたら素晴らしいと思うのです。
うまくいった例として思い浮かぶのが、AppleのThink Differentです。
1990年代、まだスティーブ・ジョブズがいた頃の広告で、マーケティングの世界ではよく知られています。
この広告そのものが直接売上に結びついたわけではないようですが、Appleというブランドに、そこに登場する人たちのストーリーを結びつけた。
結果として、当時の人たちの記憶に強く残る広告になりました。
広告の力を使って、ブランドに価値を乗せたということだと思います。
パンの向こう側にある価値
私自身は飲食をやっています。
パンや食べ物を提供して、お腹を満たしてもらう。
それ自体は素晴らしいことだと思っています。
ただ、そこにもっと情緒的な価値、感情的な価値を乗せられたらとも思うのです。
同じ一つのパンでも、そこに物語があるかどうかで、受け取られ方は変わるはずです。
だからこのストーリーの力をうまく使えるように、少し勉強してみたいと考えています。
皆さんの心に残っているストーリーは何でしょうか。
最近見た物語や、いま気になっている作品があれば、ぜひ教えてください。
それでは、コーヒーが冷めないうちに失礼いたします。
まとめ
- 昔の記憶はほとんど残らないのに、桃太郎やおむすびころりんだけは鮮明に覚えている。単語ではなく物語として記憶しているからだと考えている
- 感動したかどうかは関係なく、物語というフォーマット自体に人を引き込む力がある。文脈の分からないドラマでも目が離せなくなる
- その力を向けられる側でいるより、使う側に回りたい。飲食という仕事でも、お腹を満たす以上の情緒的な価値を乗せられたらと考えている
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