飲食店で「また行きたい」と思わせる接客の正体——プラスアルファの一言よりも大切なこと
今年だけで30店舗以上の飲食店を巡ってきた中で、「また行きたい」と思えるお店には共通点がありました。商品のクオリティでもなく、立地でもなく、結局は「人」。では、どんな人がいいのか——その答えを、自分なりに掘り下げてみました。
今年だけで30店舗以上の飲食店を巡ってきた中で、「また行きたい」と思えるお店には共通点がありました。商品のクオリティでもなく、立地でもなく、結局は「人」。では、どんな人がいいのか——その答えを、自分なりに掘り下げてみました。
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30店舗以上巡ってわかった「また行きたい店」の共通点
自分で飲食事業を始めてから、たくさんのお店に足を運ぶようになりました。
自分で飲食店を選べるタイミングでは絶対に同じお店には行かないと決めていて、今年だけでもかれこれ30店舗以上は新しい飲食店に行ったと思います。
飲食店に行くと、内部のオペレーション、店舗の立地選択、人材教育、メニューデザインなど、学びになる要素がたくさんあるんですね。
でも、そんな中で「また行きたいな」と思えるお店、帰り際に印象がいいなと感じるお店の共通点は——人がいい、ということでした。
たくさん飲食店に行けば行くほど、お店の価値はやっぱり人に集約されるなと痛感しています。
どんなに商品のクオリティが高くても、人の印象が悪いだけで体験価値全体が大きく下がってしまう。
飲食店に限らず、結局は人なんだなと思っています。
「親しみを感じさせる」コミュニケーションとは
じゃあ「結局人だ」となったとき、どういう人がいいのか。
自分なりの答えは、親しみを感じさせるコミュニケーションが取れる人です。
目を見て話してくれているか、表情の柔らかさ、声のトーン——こうした基本的なコミュニケーションの仕草が、親しみの土台になります。
そしてもうひとつ大事なのが、基本的なオペレーションに「プラスアルファの一言」を添えられるかどうか。
「前に詰めてください」と「お待ちいただいてありがとうございます」の天地の差
たとえばレジの前に5人、10人と待機列ができている場面。
ただ「前に詰めてください」と言うのと、「お待ちいただいてありがとうございます。前にお詰めお願いします」と言うのでは、天地ほどの差があります。
後ろに並んでいる方にとって、「待っている」というストレスを認めてもらえた——ちゃんと見てくれてるんだな、という感情が湧くんですよね。
やっていることは「前に詰めて」と言うだけなんですけど、感じ方がまるで違う。
ほかにも、フロアの大きなテーブルで複数グループが座るような場面で、隣の席にお客さんを案内するとき。
何も言わずに案内されるのと、「隣に案内させていただきますね」と一言断りが入るのとでは、本当に体験が変わります。
マニュアルにないプラスアルファの発話ができるかどうかが、顧客の感じ方を大きく左右する重要な要素だと思っています。
プラスアルファをいきなり目指さない——まず「通常のオペレーション」に親しみを込める
ただ、それをいきなりやろうとしても難しいんですよね。
自分でやるのも大変ですし、組織全体に浸透させようとするともっと難しい。
かなり属人的なスキルだなと感じています。
でも、だからといって諦める理由にはならない。
じゃあどうするか——プラスアルファをやろうとするんじゃなくて、まず通常のオペレーション内の会話に、親しみや穏やかさの感情を込めて発話することから始めるのがいいんじゃないかと思っています。
たとえば「お支払い方法はいかがなさいますか?」というフレーズ。
単調に言うのと、笑顔を添えてちょっと柔らかいニュアンスで言うのとでは、印象がガラッと変わる。
フレーズ自体には慣れているわけだから、そこに親しみのニュアンスを乗せてあげるだけでいいんです。
ゆとりが生まれると、プラスアルファの余力が出てくる
親しみを込めてゆっくりオペレーションをやっていると、焦らなくなるんですよね。
焦らなくなるからこそ、かえってゆとりが生まれて、プラスアルファの発言をする余力が出てくるんじゃないかという仮説を持っています。
なので僕はチームメンバーに、「プラスアルファの発話は大切だよね」という認識を共有した上で、まずは普段のオペレーションに親しみを込めて、焦らず話してみよう——そうしてゆとりが生まれたら、プラスアルファにチャレンジしてみようね、というスタンスで進めていこうと思っています。
ちょっとずつ、素敵な顧客体験を創出していきたいですね。
まとめ
- 飲食店の価値は最終的に「人」に集約される——商品の質が高くても、人の印象が悪いと体験全体が下がる
- マニュアルにないプラスアルファの一言(「お待ちいただいてありがとうございます」等)が顧客体験を大きく変える
- いきなりプラスアルファを目指すのではなく、まず通常オペレーションの会話に親しみを込めることで、自然とゆとりと余力が生まれる